私たちは日々たくさんの感情と向き合い、時には抑え、また時には発散し、円滑な人間関係になるよう過ごしています。大人同士であればお互いに距離をとり合ったり、会話の中で解決したりと方法はありますが、子育てともなると相手はまだ子ども。なかなか思い通りにはいきませんよね。
仕事で疲れて帰ってきて、まだ家事もやることも沢山。そんな時わざとではないけど、牛乳をこぼされ怒ってしまった。
言うことを聞かない子どもをしっかり親が管理しなきゃ!と力が入り、最近毎日怒ってばかり…
心当たりのある方も多いのではないでしょうか。
ただ、親である前に私たちも一人の人間です。怒ることもあれば笑顔が作れない日だってありますよね。
「怒り」という感情を上手くコントロールすることが出来れば、感情に振り回され、自己嫌悪に落ち込む、そんな日々とはおさらばです。
怒りを受け入れる
そもそも怒りという感情は、喜びや悲しみなどと同じで人間にもともと備わっている本能的なものであり、完全に無くすということは難しいものです。とは言っても、あたり構わず自分の周りに怒りをぶつけることをおススメしている訳ではありません。
怒りを無くそうと頑張って、また怒ってしまった。と落ち込むのではなく、自分が怒りを感じていることを認め、受け入れてみてください。
「こんな事言われたから私は怒ってるんだなぁ。」「こんなことをされて悲しくて、嫌な気持ちになってる。ちょっとイライラしてきてるなぁ。」
と第三者目線で自分の気持ちや状況を整理してみると、なんだこんな事で怒っていたんだ!とすんなり受け入れることが出来たり、考えることに時間がかかり少し冷静になれるのでいきなり怒りをぶつけてしまう事態は避けられるでしょう。
無理やりに怒りの感情に蓋をしても、その時はこらえられるかもしれませんが、容量がいっぱいになった時は堪えていた全ての怒りがとめどなく洪水のように溢れ出してしまいます。普段は優しいけど、ふとした瞬間に大爆発してしまうなら得策とはいえませんよね。
価値観を広げる
人は皆少しずつ違った価値観を持ち、今に至るまでの経験や知識の中で育った「それぞれ違った常識」にとらわれ生きています。
そんな私たちが怒りを感じる状況としてよくあるのが、「こうするべき」という自分の中の常識、期待が裏切られた時です。
「宿題は帰ったらすぐやるべき」「夫婦で家事は分担すべき」「おやつは15時に食べるべき」
そんなたくさんの「こうあるべき・こうあってほしい」が自分の思い通りにいかない時、怒りに繋がることが多いのではないでしょうか。
自分の価値観にがんじがらめになってしまい、こうするべき!と行動や考えに縛りが多ければ多いほど、思い通りにいかない裏切られる回数も多くなり、その度に悲しい気持ちや怒りとして表に現れます。
さらに日々の疲れや睡眠不足などのストレスからくるマイナス要因も加わり、怒りの大きさは変わっていきます。
余裕がある時は、ゲームをしていい約束時間を過ぎていても「あと少しね」と流せるのに対し、
仕事で疲れている、嫌なことがあった、こんな日は「いつまでやっているの!いい加減なさい!」と対応に差が出てきます。出来事に対して怒っているのではなく、その時のストレスに左右されているのに怒っている本人はなかなか気付けません。
これでは日によって怒る理由や度合が変わるので、何を基準に行動していいかわからなくなってしまい、親の顔色を伺う子どもになってしまいます。
そこで、まず自分は何を許せて何が譲れないのか、どんな価値観でどんな常識をもっているのかを確認しましょう。
自分の許せる範囲を広げ「たいしたことない。小さなことだ。」と受け流せる価値観・常識をもって子どもと関われるようになれば怒りの原因を減らすことに繋がります。
とはいえ、全てを受け流せというのではありません。
「これは譲れない」「子どもに伝えたい価値観」これらの大事な場面ではもちろん怒ったりする時もあるでしょう。ですから、怒りという選択肢は持っていてもいいんです。ただ、必要以上に出さないように気を付けることが大事。
もし些細なことでカチンときてしまったら、「これは本当に怒るべきことなのか?」「関係のない怒りをこの出来事にぶつけてはいないか?」と自分に確かめてみてください。
一瞬だけでも自分の怒りと向き合うことで少し冷静になれるはずです。
怒りの特徴を理解して攻略
怒っている状態というのは頭に血が上るなんて言葉があるように、アドレナリンと呼ばれる脳内物質が出て血圧や脈拍が上昇している興奮状態を指します。本来は敵に出会って戦う時、または逃げる時などの為に身体能力が向上する機能のようです。危険を回避するための大切な役割といえますね。
皆さんは普段の生活でたまったストレスや怒りが爆発される場合、どこに向かって発散されているか知っていますか?
あーもう!イライラする!と言って上司や目上の人に当たっているでしょうか。答えはきっとNOです。
なぜなら人は、怒りをぶつける場合たいていが自身より弱い人へあたるのです。
親から子へ、上司から部下へ。こうして当たられた人がまた弱い方へ、当たられた人はさらに弱い方へと負の連鎖は続きます。家庭内であれば親が長男に怒り、そのイライラが下の兄妹に引き継がれていく様なもの。しかし,最後には人をまたいで更に大きく成長した怒りがあなたの元へ帰ってきます。止められない不の連鎖を始める前に、一緒に考えを変えてみましょう。
そもそも怒りはその人本人が作り出したものです。怒るべき!と思っているから怒るのであって、怒らなければいけない!なんて義務はありません。
子どもに言われた余計な一言やイタズラも、苛立ちに感じるのか、成長だと感じるのか。
自分の思い通りにいかないと、乗り越えるべき壁に見えるのか、それとも怒りに繋がってしまうのか。
全ての出来事は試練にも、苛立ちを産むものにも、何者にもなりうるのです。自分がその出来事をどう感じるかは自分で変えられるんです。
怒りそうになったら一度立ち止まり、固定概念を取り払ったうえで、怒りをうけとめてみてくださいね。
最後に
子育て中、怒りと自己嫌悪で悩む親はきっとたくさんいますよね。かくいう私もその一人です。
ですが自分自身を責めすぎないでください。頑張って向き合っているからこそ、怒りすぎてしまう。子どもを愛しているからこそ、怒りすぎて傷つけたのではと自己嫌悪になる。とても立派に育児をしている証拠です。
人間を育てるというのはとても難しく楽しい事ばかりではないですが、笑顔で過ごせる時間が少しでも増えるきっかけになれば幸いです。
この記事を書くのに参考にした書籍
「また怒っちゃったがなくなる本」安藤俊介 日本アンガ―マネジメント協会代表理事